お子様の円形脱毛症

円形脱毛症は年令を問わず発症します。原因は特定されていませんが、自己免疫疾患で免疫担当細胞が自分の細胞である毛の根元の部分(毛根部)を異物と間違えて攻撃してしまい、脱毛がおこると考えられています。
子供の場合も原因は同じと考えられていますが、アトピー性皮膚炎や喘息などと合併することが多く、年少で発症する場合は難治性の傾向があります。
単発型 :頭髪が円形に2~3ヶ所単発的に抜けます。一般的に一番多い症状と云えます。年令、性別関係なく発症するようです。自然治癒するものも多いですが、まれに多発型に移行することもあります。
多発型 : 頭髪が多発的(数ヶ所)に抜け、繰り返しやすいのも特徴です。
全頭脱毛症 : 数ヶ所の脱毛部位がつながり、頭髪が全部抜けてしまう症状です。
上記の型の中で単発型は自然治癒する例が多く、その他は難治性の傾向があるようです。
髪が抜けることで、精神的にも大きな負担が生じます。特に学齢期の場合、周囲の理解が必要になります。学校、特に担任の先生と連携を密にし、サポートしていただけるようお願いしましょう。
お子様自身、教室で座る位置を一番後ろにして貰うだけで気分が楽になる、というくらい心理的にも不安なことがたくさんあります。また、人の目が気になって学校へ行けない、通院にも差しさわりが出るなどということでは困ります。ウィッグ、バンダナ、帽子など上手に使って明るく過ごせるような工夫も大切です。
円形脱毛症は 決して治らない病気ではありません。
毛根がなくなるわけではないので、毛が生える可能性はあります。専門医の診察を受け、治療を継続しましょう。

■プロフィール
佐々木 りか子 (ささき りかこ)国立成育医療センター第二専門診療部皮膚科医長
日本小児皮膚科学会事務局長
■経歴
1981年 日本医科大学卒業同年 日本医科大学皮膚科学教室助手
1987年 国立小児病院皮膚科医員
1995年 国立小児病院皮膚科医長
2002年 国立成育医療センター第二専門診療部皮膚科医長
現在に至る
■資格
医学博士日本皮膚科学会認定皮膚科専門医